シンガポール通信・その1
もうけっして若いとは言えない、うぅん正直に言うと既に「おばさん」と言われる年齢になっての転職、しかも海外への転職をしました。
勤めていた会社の同僚に「どうして辞めるの?」、「どうしてシンガポールに行こうと思ったの?」、と 聞かれ、何一つ答えられないまま会社を辞めた上ここシンガポールに飛び出して来ました。
前の会社に不満があったわけではありません。
むしろ恵まれた環境で勤めていて、辞めるなんてもったいないと言う周囲の反対を押し切っての退社です。
「なんでだろー?」、いまだに答えの出ないままです。
多分、これから先の体力、精神力その他を考えた時に自分という人間が何かに再挑戦するにはこれが最後のチャンスだと思ったのかもしれません。
「じゃなぜ海外なの?」、ということになりますが、たまたまシンガポールで働くチャンスがあっただけというのが本当のところ。
海外に出て誰も私のことを知らない場所で、今までのように大会社に甘えられない個人としての私自身が何をどこまでできるか試したかったのかもしれません。
もしかしたら、だんだん年を取っていくだけの自分が寂しくなって、「私もまだまだ頑張れるのよっ!、!」って思いたかったのかもしれません。
結局のところなぜなのかはまだ私自身分かりませんが、その答えはこれから時間をかけて探していこうと思っています。
不思議なことに不安も後悔も感じていない自分に我ながら驚いていますが、きっと後悔だけはしないだろうと確信してます。
国というにはあまりにも小さなシンガポール。 その面積は東京23区とほぼ同じです。
ただ、「モザイク・シティー」と呼ばれるだけあって、この小さな土地に中国・インド・マレー・日本・韓国・欧米様々な人種が暮らしています。
様々な人種が暮らすこの国で、様々な文化に接しながら 一人の日本人として、一人の人間として、 一人の女性として、自分の強さと弱さを知りたいと思っています。
*LIVING WITH SARS
ここシンガポールでは「Living with SARS」、「SARS OUTBREAK」、「リー クワンユー前首相SARSを語る」など毎日のようにテレビではSARS特集が組まれていますが、街中では思ったほど神経質にはなっていないようです。
政府の徹底した管理の下、少しでも怪しい人は家から出ることを禁じられ、違反すると高額の罰金が取られます。
ご存知の方も多いと思いますが、 シンガポールは罰金の多い国で、タバコのポイ捨て、トイレの流し忘れ(信じられない!! )が見つかると大体500シンガポールドル(約35,000円)徴収されますが、SARSに関してはことさら厳しくて自宅待機の命令に違反すると10,000シンガポールドル(約70万円)取られてしまいます。
そんな訳であまり怪しい人は街中をうろついていないと思います。 思いたい。。。。。
いずれにしても日本で言われているほどひどい状況ではありません。
伝播国からの入国者は厳しく管理され、10日間自宅待機はもちろん、その10日間の間に医師からの電話による問い合わせが不定期に入り、電話に出ない場合は即移民局に通報されるなど徹底的な措置が設けられているので、無差別に他人に伝播することはありえません。
今までの発症例も、患者の家族、病院関係者が多く、患者に深く接した人に限定されるので、一般市民はそれほど危険には面していません。
公的機関への出入りは特に厳しく先日教育省に書類を届けに行った時は受付でSARSの問診表に記入させられ、パスポートを預けてからやっと入館を許可されました。
エレベーター内は消毒がきつくって、息が詰まりそう。 SARSで死ぬ前に消毒薬で死にそうです。
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*MADE IN CHINA
日本で流れているニュース映像で、シンガポールではマスクをしている人がいないのを不思議に思っている友人も多く、「徹底的に管理されているからその必要がないんだよね?」、というメールがきます。
管理されているのも確かですが、ただ単に暑いからマスクをしないというか、出来ないというのが実情のようです。
シンガポールは室内は冷房が効いて凍るほど寒いのですが、外気温は日中30度を越すので、その中でマスクをするのはなかなかの試練です。
また、ウィルスをシャットアウトするほどの機密性のあるマスクとなると、普通の呼吸すら大変です。 SARSで死ぬ前に窒息死しそうです。
そんな中、某日本企業の本社からここで働いている日本人のためにマスクが送られてきたのですが、 なんとこれが「Made in China」!!
「中国製のマスクなんて大丈夫ぅ?」ってことで当然ながら誰もそのマスクは使わなかったそう。
本社の人よ!もう少し考えて!!
*オケラ!
こちらに来て早一週間! シンガポーリアンと話しているとあちらこちらで「オケラ!」、「オケラ!」とよく言われます。
「確かに私はお金持ってないよー」、でも「失礼じゃないか!!」、と思うのですが、彼らは 「OK, LAH!!」と言っているのです。
最後のLAHは中国語です。
シンガポーリアンの前では決して口に出来ませんが、こちらの人の話す英語は「シングリッシュ」とあだ名されるほど独特で、中国人が話すと発音は母音が強くその上文末に中国語が入ったりするし、インド人が話すとぶつぶつ一本調子でまるで呪文のよう。
私の耳には #〇▲%&*^@□、LAH!と聞こえ、まったくもって理解できず、さっぱりです。
TAXIに乗って「グッドウッドパークホテル、プリーズ!」といっても全然分かってもらえず、思い切って「グッ、ウッ、パー、プリッ!!」と言ってみたら、「OK,LAH!!」。。。。
無事目的地に到着 しました。
シンガポールに来て少しは英語が上達するかと期待していたのに、だめそう。
このままでは、英語力向上は望めないので、早速英語のレッスンを受講することにしました。
私が勤めている学校で一番教えるのが上手い先生に月曜と水曜の夜2時間グループレッスンを、 学校で一番かっこいい先生に木曜の夜1時間プライベートレッスンを担当してもらうことにしました。
が、大失敗です。
グループレッスンの方は生徒さんはみんなビジネスマンのビジネス英語クラスなので予習に追われ寝不足気味。
かっこいい先生のほうは異常に発音に厳しくこのまえ初めてのレッスンを受けましたが、一時間「N」の発音ばっかやらされ、へこみました。
PEN,PAN,CAN,ACTION,VACATION......
最後が「N」で終わる単語を何度も何度も言わされそのたびに「ノォォ!!」(アメリカ人なのでリアクションも大げさ)」とダメだしされ、プライベートレッスンなんて止めときゃ良かったと後悔しながらも、先生の顔を見ては
「やっぱ、す・て・き!!」
と思い直し乗り切った一時間。
来週はきっと「S」の発音をやらせれるんだろうな 。
She sees sea....
なんてね。
いつかちゃんと英語でコミュニケーションが取れる日が来るんだろうかと思いつつ今はやるっきゃないですね。。。。。
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*悲しい知らせ
大切な人が亡くなったという訃報が届きました。
前の会社の上司で、一緒に仕事をしてきた方です。
初めてお会いしたときは怖そうに見え、「今日からこの人と働くのかぁ」、とちょっと不安に思ったものですが、見た目の強面さとは違い真っ正直で心の温かい方でした。
会社での立場・性別・年齢を超えお互いにお互いを大切にしてきた間柄です。
私を可愛がってくれ、いつでも親身になってくれた人、私を愛してくれた私の愛する人です。
そんな彼の死は言葉に出来ないほどの痛手です。
シンガポールに発つ前に連絡しようと思いつつ忙しさにかまけてそのまま連絡もせず日本を出てしまいました。
そろそろ手紙を書こうと思っていた矢先の訃報です。
海外で暮らすということは、大切な人に何かあっても帰れないということ思い知りました。
Eメール等でお互いの距離感を感じない生活を送っていても実際に遠く暮らしているとどうにも出来ないことがあることを痛感しました。
お葬儀に出て最後のお別れを言うことも出来ず、同じ悲しみを持つ人と心の痛みを分かち合うことも出来ないのは本当に辛いことです。
ただ一人でひたすらこの悲しみと向き合うしかないのでしょう。
少しでもお慰めできればと奥様に電話をかけたのに、どちらも泣き声になってしまって慰めるどころかまともな会話も出来ない有様です。
今ごろ日本では彼の告別式を行っている時間です。
今はただ彼のご冥福を祈り、そして今までの彼の温かい心配りに感謝の言葉を贈りたいと思います。
2,003年5月12日 From Singapore By シェルピンク
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